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2002年度事業報告
社会福祉法人 創思苑
1 はじめに
今年度は、パンジー、パンジーUで、他の作業所では受入れが困難な自閉的傾向を持つ当事者が新しく利用を始めた。そのため、プロジェクトチームをつくり、環境の改善、関わりの持ち方などを中新井さんのアドバイスを得ながらすすめた。役割を持ちにくい重度の人たちには、充実した時間を持つことと、地域へ出ていくことをケア・プランに盛り込み、実践した。ゆっくりペースにすることにより、作業時間を縮小し、当事者が自分たちで考え活動できるよう、情報提供の工夫心がけたり、話合いの時間を多く持つようにした。そして、当事者が活動の中味や流れを理解することにより、エンパワメントすることを目指した。しかし、1年間を振り返ったとき、日々の活動に追われ、十分に実践できなかったと言わざるをえないだろう。
ザ☆ハートやかえる会の活動は、ピープルファーストの事務局を引き受けたり、職員の面接を行うなど、そこに関わる当事者の活動は活発になったが、反面、パンジーやパンジーUの当事者活動が沈滞気味になってきた。再整理が必要だろう。
7つのグループホームを含む自立生活支援センターわくわくは、相談業務をはじめとして介護派遣、ピアカウンセリング、就労支援、グループホーム等、できる限りの支援をしてきたが、利用する当事者の生活の質に焦点を当てたとき、安定した支援を提供するまでには至っていない。また、親の高齢化に伴い、休日もグループホームで暮す人が増えている。
2002年11月5日から7日の3日間、スウェーデンの「グルンデン協会」で働く当事者のトミーさんと支援者のアンデシュさんが大阪に来た。パンジー・パンジーU・ザ☆ハートを見学し、当事者・職員・法人の役員との交流を深めた。当事者主体になるためにどうしていくかの道筋が少しずつ見えてきた。
次年度は、今年度の総括をふまえ、各事業がより当事者主体に近づく事と、一人ひとりの生活が、その人らしい暮らしになるようザ☆ハートやかえる会と連携してすすめていきたい。
2 創 思 苑 概 要
【新事業】 第2種社会福祉事業 グループホーム「たんぽぽ」グループホーム「春宮」を開設。
【定款の変更】 @「第2種社会福祉事業」にグループホーム「たんぽぽ」グループホーム「春宮」を追加した。A評議員定数を15名から1名追加して16名に変更した。
【長期借入金】 返済については、社会福祉医療事業団よりクリエイティブハウス「パンジー」の設備資金借入金の2500万円のうち125万円を12月に返済し、残り1250万円となり、利息については61万1874円を返済した。
また、クリエイティブハウス「パンジーU」設備資金借入金5000万円のうち、250万円を10月に返済し、残り4250万円となり、利息については94万1116円を返済した。利息分については大阪府社会福祉協議会より合計96万6千円の補助金がおりた。
【理事会・評議員会】 第5期第5回(5月30日)事業報告・決算、第6回(9月22日)大規模修繕について、第7回(11月7日)、第6期第1回(3月17日)補正予算・支援費指定業者報告、事業計画、施設長変更、理事・評議員定数変更、理事改選・評議員定数変更、経理・給与規定事業追加の変更(居宅介護サービス)を開催した。
3 クリエイティブハウス「パンジー」及び「パンジーU」
<パン部門>
知的障害を持つ人達が地域へ出ていくためのパンづくり、販売、配達(営業)活動を土台としつつ「当事者主体−ゆっくりペース」をどのように具体化していくかを模索してきた年度であった。定期的に「パン屋会」を開き、営業や販売、イベントの話、活動方針等を当事者と支援者とで決めてきた。しかし、話し合う内容が多すぎたり、当事者リーダーのMさんが職場実習にいったり、支援者が日常の活動に追われる中で、当事者リーダーが役割として位置づいたとは言い難い。うまく機能したのは数回ほどで、ほとんどが大口顧客である幼稚園の給食メニューを決める話し合い(メニュー会議)だった。反省点としては、パン屋会を行う日や時間などの予定を緻密に立てなかったことがあげられる。2003年度への教訓としたい。
(1)当事者について
4月から新たに当事者3人がパン部門に加わった。それぞれがパンの製造や販売、配達にがんばり、自信をつけてきた。また、今までパン部門で働いていた当事者が、新しい当事者に仕事を教えることもたびたびあり、特にリーダーは仕事の指示をしたり自ら率先して働く等、リーダーとしての力を身につけていきつつある。今後はさらに当事者同士で仕事を進めていけるように支援してゆきたい。
(地域とのつながり)
パン屋会で話し合い、配達や販売に行く人に片寄りが出ないようローテーションを組むことになった。当事者同士で配達に行く人を決めたことで、当事者の中に責任と自覚が生まれた。これまで外に出かけることのほとんどなかった当事者も他の当事者に誘われることで、外に出る機会が増えた。販売、配達先は、依然として東大阪市以外が多く、地元に根付いたとはまだまだいえない。来年度も「地域」に根付くことを目標に、東大阪市を中心とした販路を開拓してゆきたい。
(なかまとのつながり)
「当事者同士で助け合う」まではいかないものの、一つの作業を複数で協力しながら行ったり、助け合いながら行うようになっている。また個別の配慮が必要な当事者へも、それぞれに対応した関わりができるようになってきた。
(2)売上げについて
@配達先
(大口顧客)奈良県の幼稚園から週に1回、昼の給食を請け負っている。また、東大阪市と大阪市の保育園からも、おやつの注文をもらっている。今のところクレーム等はなく、順調にすすんでいる。
(配達)東大阪市、寝屋川市の一部の小中学校や市役所、個人宅等へ配達している。営業活動はほとんどしてこなかったので、今年度は小・中学校にこだわらず、東大阪市での顧客を増やしていきたい。
(定期購入)昨年度同様パンジーの保護者が大半である。これからも保護者に協力をしてもらいながら、食パンを中心とした定期購入の契約をとれるようにしたい。
(生徒会)盾津東中学校、高井田中学校、小阪中学校で生徒会が中心となってパンを購入してくれた。生徒会での取り組みも定着してきた観がある。今年度も引き続き協力してもらえるよう努力してゆく。
A販売
ゆっくりペースということで、現在は、大東市役所(月2回)、サンヨー電機(毎週木曜日)と下水道支部(月1回)に販売先を限定している。
(3)実習について
鴻池東小学校や盾津東中学校の生徒会、職場実習として、小阪中学校、英田中学校、盾津中学校、若江中学校の生徒が来た。学校現場における「総合学習」の導入もあり、実習に訪れる学校が多くなっている。
(4)年間活動報告
5月 カトリック幼稚園給食スタート/ 11日ふれあい祭り/24日パンジーまつり/25日まっさくマラソン
6月21日 盾津東中文化祭
7月10日 高井田中学校
10月27日 健康祭り
11月3日 アーバンケア稲田まつり/17日 盾津フェスティバル
12月7日 サンヨーハートエコロジーでの販売
2月より 下水道支部での販売、再開
<クリエイティブ部門>
今年度は、当事者各々にケア・プランが立てられ、支援のあり方が具体的になったが、その実践の過程には色々な試みを模索する時間が必要で、日々の作業・配達などの動きとどのようにかみ合わせていけばよいかが、大きな課題だった。クリエイテイブ部門は、自閉的傾向をもつ当事者が多いので、一日のうち半日は販売・配達などで外へ出かけるパターンは崩さないようにし、作業面では落ち着いて、安心して働ける環境・空間作りを心がけ、支援してきた。
ゆっくりペースについては、自閉的傾向をもつ人とそうでない人では、作業従事のあり方と自由時間の過ごし方に違いがあり、支援者は個々の関わり方を整理し、何回かの変更を経験しながら、この一年を過ごしてきた。作業のリーダー格であるKさんが就労の実習に行ったことや、企業内授産の仕事で出かける人がいたことで刺激を受けて「私もやってみたい」と意欲を燃やす当事者も出てきている。
(1)日中の過ごし方で心掛けたこと
自閉的傾向をもつ当事者にとって仕事の量が安定していることは大切なので、作業の量は以前と変わらないが、昼休みには好きなこと・気分転換ができるよう支援してきた。作業室に作業の部品が少しでも残っていると、食事の後もずっと仕事をする傾向があるので、昼休みには部屋は何もない状態にした。1週間に1度位は、午後からハイキング(時には車2台で)に出かけたり、数は多くないがイベント参加やさをり販売店の訪問など、外へ出かける機会を増やした。個々の具体的プランについては、個人的に取り組んだもの以外に、全体では、毎週月曜日に講師を招き、皆でリズム体操を行なった。初めは全く興味を示さなかった人も回数を重ねる内に少しずつ音楽に乗って体を動かす様になった。
@軽作業
新しく、「アイナック」という会社から現在数種類の作業を受けている。従来のズボンハンガーやタオルハンガーも含め、作業内容が豊富になった。
Aさをり
1年の間にさをりの作業場を二度移動した。もともとクリエイテイブの部屋にあったが、当事者間でさをりの糸や織り機の位置にこだわり、調子を崩す状態になったため、玄関横の部屋に移動させた。その後も同様のこだわりが生まれ、1階からさをり全部をなくした方がいいと考え、2階へ移動。今は2台の織り機で2人が織っている。規模は縮小したが、縫製委託の方と売れる商品作りを心掛け、安定を図っている。さをり専門店に委託販売をしており、売り上げは順調である。
B冬季のチョコレート販売
東大阪市内全域の小・中学校、門真・寝屋川、奈良方面の学校に例年同様に協力していただいた。今年は例年より遅い11月にスタートしたが、389万円を売上げた。
(2)年間活動報告
<4月>パンジー祭、東大阪ふれあい祭りに向けて、バザー品募集の原稿を市政便り・行政機関誌に掲載依頼(3月中旬)。地域の団地を中心に徒歩・自転車・配達時等に当事者とチラシを配布。
<5月>バザー品の回収を行う。バザー品の回収を週間日程に組み込みながら、毎日の作業を確保。ふれあい祭・パンジー祭のさをり出店準備。
<6〜9月>新しい軽作業を受けて作業が充実していた。毎月、さをり販売店に出す商品のロゴ・値札付け等を当事者と準備し、さをり委託販売店に製品を見に行く。軽作業卸元会社訪問はしなかった。
<10月>軽作業の内容が増えた。チョコレートのための販売準備。サロンド・ロワイヤルにパンフレット、サンプル品など送付依頼。
<11月〜3月中旬>チョコレート販売開始。売上げ目標額を達成するために、販売先に挨拶の電話を入れ、了解を得た段階で郵送または直接にパンフレットを当事者と支援者で配布。毎日、顧客訪問先・配達先を週間予定に組み込む。軽作業は順調に受注依頼があり、作業の状態は安定していた。
<3月>一年の反省と次年度の計画と準備を計画・確認。
<パンジーU授産部門>
昨年の終わりに「かえる会」で「どこで仕事をしたいか」というアンケートを当事者に行った。希望通りに変更があり、当事者の入れ替わりがあった。パンジーUのリーダーが移動したため、中心に動いていた人がいない状態となった。しかし、1年を振り返ってみると新しい当事者のリーダーが育ちつつある。
また、3人の新しい当事者が加わり、自閉的傾向をもつ人が増えたことで、彼らが安心して過ごせるよう、部屋の中をカーテンで区切った空間を作るなどの工夫をした。
大きな反省点はマイナス決算となってしまったことである。安心して日々を過ごす支援と、弁当の配達で外出することで満足してしまい、営業活動がおろそかになっていたことが原因だと考えている。
(1)ゆっくりペースとケアプラン
ゆっくりペースの実践として、当事者のスピードで仕事をした。そのために仕事量を減らしていった。当事者にとってどのような支援が具体的に必要かを考え“ケアプラン”を中心に、個人の支援の充実に時間をとった。一定の努力の成果はあったが、暗中模索といった感じであった。成果としては、生駒にハイキングに行ったり、パーテイションルームでの体操、近所の公園への散歩といったものが具体例としてあげられる。
@軽作業
地域の工場からの紹介で新しい受注を得た。作業が変わったりもしたが5月の中旬には、タオルハンガーに決定した。当事者にとって難しい作業もあるが、分担をすることで、当事者の仕事として定着した。
A弁当
当事者のペースに合わせ仕事量を昨年度までの約半分に減らした。そのため新しく挑戦できた人、リーダーとして動きやすくなったなど、よい結果が生まれた。当事者が自信を持つ支援が出来たと考えている。
売り上げは、弁当の数の調整をしたため、上半期は予定数を下回った。しかし下半期は予定数を上回り、年間を通して見れば順調だった。
B園芸
園芸の作業を縮小したので営業に力を注ぐ必要があったが出来なかった。下半期の卒業式の花鉢は努力したが結果が出なかった。パンジーの栽培がうまくいかなかったことも重なり、売上高が落ち込んだ。
畑では、当事者の人たちと楽しんで野菜の収穫が出来た。
C販売
クリエイティブ部門の協力を得て、チョコレートを八尾市を中心に販売した。初めてということもあり、売り上げは伸ばせなかったが当事者の仕事としては定着した。人との関わりの中で仕事をする大切さを実感した。また、3月には試験的な営業として「讃岐うどん」の販売を行った。好調な滑り出しだった。
(2)年間 活動報告
4月 パンジー祭り・ふれあい祭りのチラシ配り、準備。弁当のアンケートを当事者とともに確認した。
5月 ふれあい祭りにてカーネーションの販売、完売。園芸では、ニガウリ・唐辛子など種まき。
7月 夏の衛生強化について当事者と話し合う。夏野菜は収穫量が多かった。(8月も続く)
8月 パンジーの種まき。この時点では順調(9月に水に流された)
10月 アンケートできず。(3月に延ばす)冬野菜の種まき、花など種まき。
11月 クリスマス正月商品営業開始。卒業式の花鉢、サンプル持参での営業開始。
元気シティ出店し、園芸好調。チョコレートの営業開始。(3月末まで続く)
12月 クリスマス正月商品。大口注文もあったが、売り上げはのびなかった。
2月 アンケート作りをした。当事者の積極的な意見がでた。卒業式花鉢30鉢準備。
3月 玉川小学校に花鉢納品。讃岐うどん販売開始。今年度の反省、来年度について当事者とに話し合い。
3.どらえもん会・わくわく会
基本は月1回のペースで、どらえもん会・わくわく会を行った。各当事者リーダーが役員を兼任していたので、話し合いもスムーズにいった。それぞれの議長は、かえる会に週1回参加することになったことで、かえる会で話し合ったことを、全体に知らせることができた。
どらえもん会、わくわく会で話し合われた内容
対市・対府交渉の勉強会/各行事の担当/旅行の行き先や宿泊数、どんなことをしたいかの話し合い。
給料のこと/来年度の自分の働きたいところなど。
支援者はわかりやすいようにプリントや表、大きく模造紙に書いたものを用意した。話し合いは、なかなか進まなかったり、意見が分かれて決まらなかったこともあったが、真剣に話しあって解決していけた。2003年度はメンバー構成が変わるが今までのことをステップにして、みんなで会をもり上げていきたい。
毎月第3金曜日に話し合いを持つことになっていたが、急な話し合いが必要だったり、施設外授産の開始等により、変更や回数が多くなることが多々あった。来年度もこのようなことが起こると考えられるが、臨機応変に対応したり、納得するまで話し合う等していきたい。
4.講演会
(1)2002年度講演実績
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6月5日 |
路交館 ボランティア講座 |
6月10日 |
ケアマネ養成講座 |
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7月6日 |
レッツエンパワー |
8月28日 |
ハ二カム |
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9月9日 |
ケアマネ養成講座 |
9月14日 |
ホームヘルパー養成講座 |
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9月21日 |
ガイドヘルパー養成講座(東京) |
9月22日 |
ホームヘルパー養成講座 |
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10月3日 |
ピア大阪 |
10月9日 |
青少年会館 |
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10月16日 |
青少年会館 |
10月30日 |
そに小学校 |
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11月29日 |
若江中学校 |
12月11日 |
大阪教育大学 |
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12月27日 |
共働舎 花の会(高槻市) |
1月27日 |
枚方施設職員研修会 |
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2月5日 |
介護実習普及センター |
2月22日 |
八尾市作業所連絡会 |
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3月12日 |
ガイドヘルパー養成講習会 |
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(2)良かった点
学校の総合学習や人権学習、ヘルパー養成講座など多岐に渡る講演依頼があった。講演日時・内容・講演メンバー・原稿作成など当事者と支援者が共に携わって講演会を構成した。また、後半からパンジー紹介ビデオが新しくなり、活動が伝えやすくなった。
(3)反省点
ザ☆ハートの当事者が講演に行く機会が多くなった反面、他の当事者の講演の機会が減った時期があった。後半は、なるべくいろいろな当事者が行けるような支援を心がけた。準備不足の時もあったので、もう少し余裕を持ち、早くから準備を始められるよう支援が出来ればよかった。
5.昼食・ティータイム
@昼食・・・ バイキング形式については、授産の意見を聞き、当事者の食事量の配分や肥満対策によ り、行えなかった。かわりにメインを2種類用意する日を設定した。
A衛生について・・・保健所の衛生指導に基づき改善した。
B弁当・・・旬の野菜を取り入れて季節感のある献立作成をし、目で見て楽しめるよう食材の工夫を行った。
C健康対策・・・肥満や生活習慣病対策としておかずについては肉より野菜の割合を高くし、メインに ついても魚料理を多くするなど、バランスの良い献立にした。調味料についても、できるだけ減塩、 低油になるように心がけた。
4 自立生活支援センター「わくわく」
1.介護派遣
・2002年度は、これまで通りの毎週土曜日のわくわく活動(ガイドヘルパー派遣)を実施した。
・派遣時間数は約10000時間で延べ1300人のヘルパーをコーディネートした。
・現在ヘルパーは約70名。情報誌などで募集をすることで量の確保は出来た。ヘルパーの質の向上に関しては、隔月に1回の割合でガイドヘルパー研修会を開き、質の向上につとめた。
・利用者への多様な情報提供は出来なかった。
・ヘルパー供給主体になるための手続きなどの作業は、制度自体の決定が遅く、それにともないわくわくとしても事務作業が遅れた。4月から供給主体にはなることが出来た。
実績
《地域のサークルや習い事への支援》
・視聴覚むけIT講習会やパソコン教室に参加 (1名)
・大阪府障害者スポーツ大会へ参加
・水泳・卓球競技 (のべ3名)
・フレンドサロン(ファインプラザ)の参加 (のべ6名)
《わくわく活動以外にも希望に応じて派遣》
・スポーツ観戦など日・祝・平日と時間にこだわらず利用の幅を広げる。
・通院等にもガイドヘルパーを派遣する。
《ヘルパー募集活動》
・毎月、情報誌『コンボ』に募集案内要請をする。
・5月に『タウン・ワーク』に募集広告を掲載。
・学校関係にヘルパー募集のための訪問。
・12月に大阪府下の福祉系大学・専門学校にガイドヘルパー募集のお知らせを発送。
《ヘルパー研修会》
5月(介護体験:食事介護) 7月(中新井澪子さん講演:自閉症の理解)
9月(介護体験:車椅子補助) 11月(てんかん発作の理解、支援費制度に向けての説明)
1月(支援費制度の理解と説明) 3月(佐木理人さん講演会:視聴覚障害者への支援)
各研修には平均25名のガイドヘルパーが参加。
2.相談支援事業
<地域の障害者およびその家族への継続的な相談・生活支援をする>
福祉事務所やサポートセンターを通しての相談や、直接センターを訪れた人への相談に応じてきた。相談内容によっては、他の作業所等と連携をとりながら進めることができた。
<療育センターと協力し、東大阪圏域でのサービス調整会議を定期的に開催し、行政への提起の機会を作る>
療育センター、行政とのケア連絡会議は3ヶ月に1回開催され、出席したがケースの紹介や報告にとどまり、行政への提起には至らなかった。
<ワークショップを年に3回(自立生活のための料理教室、自信をつけるためのプログラム、権利擁護プログラム)開催する。またピープルファースト事務所にリーダーを依頼する>
計画していたワークショップは開催できなかったが、セクシャリティ・ワークショップを開催した。(2003年度も継続)講師には前半は河東田博さん、後半はハートブレイクに引き継がれ、月に2回のペースで行った。参加者は家族等からの要望があった人に呼びかけ6名が参加している。最初は戸惑っている人もいたが、徐々にリラックスし楽しめるようになってきた。
<毎週木曜日に「かきルーム」を開き、スポーツや趣味など在宅障害者がなかまと一緒に楽しめる活動にする>
5〜6名が参加し、調理実習やカラオケなどを楽しみながら、日中の活動の場を作ってきた。来年度はデイサービスに移行し日数を増やしていく。
3.ピアカウンセリング
当事者同士が互いに気持ちを理解し合い、支え合ってエンパワメントしていくことを目的とし、毎月第1土曜日に市民会館などを利用して行ってきた。パンジーの当事者がリーダーとなり、一回ずつテーマや内容(うれしいこと、かなしいこと、自立のことなど)を決めている。主に参加者の希望を取り入れながら「なかよくなる時間」と「ききあう時間」を組み合わせて行っている。毎回約十数名の参加者が集まり、2003年度から2グループに分かれて行う予定である。
大阪の身体障害者ピアカウンセラーが、当事者リーダー・参加者のサポーターとして7〜8名に増え、より多くの当事者がピア・カウンセリングを続けられる支援体制が確立してきた。
大阪府の知的障害者ピア・カウンセリング講座では、4日間の講座を9月と3月に2回開催し、約8名ずつの参加者があった。パンジーの当事者はリーダーとして、何度も話し合いを重ね、リーダーの分担やプログラムの内容などを自分たちで決め、自信につながる経験を積み重ねてきている。
4.就労支援
・長引く経済不況の下、障害者雇用を巡る状況は非常に厳しい。雇用につながらない職場実習でも積極的に行い、利用者の意欲を高めながら、長期的な展望をもった支援を行ってきた。
・「企業内授産」という形態や一般企業における「恒常的なトレーニングの場」の開拓も検討する。
・他機関との連携を強め、就労支援のスキル向上・情報交換を図る。
・今年度の目標として5名の職場実習と2名の就職を実現するよう支援する。
上記の計画の下、以下のような取り組みを進めた。
@半年間の実習の後、昨年3月末に特別養護老人ホームに就職をしたAさんが5月に事故で急逝するという悲痛な事があった。その後Bさんが1ヶ月の実習の後10月に就職し元気に働いている。
A1年近く就労に向け、面接や実習を行ってきたCさんが7月にファミリーレストランの配送センターに就職できた。就労支援者が新工場長に挨拶に行った時、運良く「障害者をもう一人雇う」という情報を得たことがCさんの就職につながった。地域の事業所との地道な関係作りが就労につながった例である。
B自閉症のKさんがリサイクルセンターで2ヶ月の実習と1ヶ月のトライアル雇用にチャレンジした。残念ながら就職は無理だったが、自閉症の人の就労支援を進める良い経験になった。
C「施設外授産の活用による就職促進モデル事業」が国・府において進められている。今年度「N倉庫」での作業を行ったがノート包装という作業の難かしさ、寒い環境下ということも重なり1ヶ月で撤退した。
2月から、パンジーの近くの「K商店」という製茶会社でシール貼り作業に取り組んでいる。会社の従業員とは別に「パンジー班」(当事者2〜3人と支援者1人)で作業を行っている。作業工賃は1日1人900円程度(3時間)で最低賃金には程遠い額だが、多い人で月10,000円程度の収入アップになる。まだまだ試行錯誤だが、この取り組みの中から一般就労に移行する人が出でくることを期待している。
D就労支援者が日本障害者雇用促進協会の「職業リハビリテーション実践セミナー」を受講するなどスキルアップに務めた。また、大阪府のジョブサポーター養成・派遣モデル事業の実行委員会事務局に参加し、2名のジョブサポーターを受け入れてきた。
E今年度実績
実習者…6人 一般就労者…3人(1人は地域) トライアル雇用…1人
施設外授産…7人(経験のみも含む)
5.グループホーム
今年度は、新しく他の施設に通所している当事者を受け入れ、地域に開かれたグループホームとしての一歩が踏み出された。また、コミュニケーションや関わりの難しい人に対して、他の部門(授産部門、相談)、主治医、保護者との連携を深め、プロジェクトチームを組んで支援の充実を行った。
また、週末もグループホームで過ごす人が増え、休日の支援体制を整えてきた。しかしながら緊急時の状況に対応するための十分な体制が作れなかったり、パンジーの理念と支援のありかたについて介護者と共有することが難しく、今後の課題となっている。
・新たにグループホーム「たんぽぽ」、グループホーム「春宮」を開設した。
・グループホームに新しく、5人の入居者が増えた。
・週末もグループホームで過ごす当事者が5人増えた。
・日中、他の施設に通っている当事者の入居を受け入れた。
・自治会の班長を一年間遂行した。( GH「てくてく」)
・生活保護の申請への支援をした。
・保護者と世話人、介護者との懇談会を実施した。
5 はっしんきち ザ☆ハート
当事者の、なかま・自分たちの権利擁護のために活動するピープルファースト事務所。2001年度から当事者とともに、どのような事務所をつくるか、場所や内装工事、備品調達から支援者、当事者の面接など、事務所運営の全てに当事者が関わって迎えた4月1日、はっしんきち ザ☆ハートがはじまった。
当初は、具体的な仕事が当事者・支援者ともに分かりづらく、何からすればいいのか、分からない状態だった。しかし、今まで継続して取り組んでいたピープルファーストの全国的な活動、大阪での活動を足掛かりに、1年目の課題として東大阪にピープルファーストを広めるということに焦点を定めた。
新聞を作り、市内の作業所に出向いて、配り歩く。そうした地道な活動の積み重ねが、当事者にとって、事務所をつくってよかったという自信につながった。
だが、ピアカウンセラー、在宅支援のリーダー活動、講演会の仕事などの活動がメインになっていく中で、地域の作業所周りが後回しにされ、継続されなかったのは、来年度の一つの課題と言える。
8月に実施されたハート旅行は、当事者がメインになって計画、段取りを組み立て、支援者の役割はわずかだった。1年目に余暇を自分たちで組み立てられたのは、自立生活に慣れた当事者が多いハートならではだが、それが実現できたのは当事者主体の上に成り立ったピープルファースト事務所の成果だとも言える。
パンジーのオンブズマン的役割を果たす「かえる会」では、今年度も職員・介護者への発言を強めた。中でも、支援者全員に面接をしたことは、今後のかえる会、パンジーでの当事者の立場を考えていく中で、大きな意味があった。来年度は、支援者を評価することを具体的に学んでいく段階にある。
ピープルファーストの全国での組織化の話が進む中で、ハートは事務局となった。当事者が望んだことでもあったが、大きな仕事を抱えることで、4月からのハートの雰囲気が変わってしまった。当事者の気持ちが、「自分たちのペース」より「がんばらなあかん」「がんばっていかなあかん」となり、結果的に当事者が追い込まれたのは、来年度の大きな課題である。ハートやピープルファーストの様々な活動を通して、この1年で当事者と支援者ともに多くのことを経験し、学び、成長したことは間違いない。また多くの人に対しても影響を与え続けた1年でもあった。
6 障害者運動
1.当事者運動の支援
(1)ピープルファースト大阪
障大連の知的障害者部会として、大阪府下の当事者たちが集まって話し合いをしている。パンジー・パンジーU・ザ☆ハートからは毎月4〜8名の当事者が参加し、3名の職員が支援者として参加してきた。
「なかま会」から「ピープルファースト大阪」と名称も変え、毎月第4土曜日の午後、芦原橋のヒューマインド(旧総合福祉センター)で話し合いを行いながら、「ピープルファーストを広める」「自分たちの生活をよくしていく」「なかまを増やす」などの目標を立てて活動してきた。7月の対府交渉、12月の障大連セミナーに向けての準備や、ピープルファースト大会に向けての話し合い、カンパ活動を行った。また、大阪府下や全国での知的障害者の虐待事件について意見を出し合い、抗議文を送るなどした。北海道の入所施設で人権侵害を受けたなかまの裁判応援集会を開催したり、アメリカのピープルファースト全国組織元会長の来阪に際して講演会の実行委員会をつくり、話し合いを重ね、講演会を成功させることが出来た。
参加者の減少をどうするかが今後の課題である。
(2)ピープルファースト大会
11月23,24日、熊本県・熊本市(熊本学園大学)にて「ピープルファースト大会IN熊本」が開催された。参加者は約600名だった。ザ☆ハートからは全国実行委員として当事者3名が大会の運営に関わった。大会には、約30名の当事者と職員が参加した。
(3)ピープルファーストジャパン設立準備委員会
全国各地で活動してきたピープルファーストをまとめるための全国組織を作ることになり、「ピープルファースト設立準備委員会」が出来、ザ☆ハートが事務局になった。今年度は、ピープルファーストを広めるために東北地方・四国中国地方へのオルグ活動、北海道の入所施設で人権侵害を受けたなかまの裁判の応援、厚生労働省との折衝、地域サービス促進の要望書を厚生労働省・全国の役所へ発送、「ホームヘルパー上限問題」に関しての要望書提出・抗議行動など、様々な活動を行った。全国のピープルファーストが一つになった1年でもあり、今年度は10年続いてきたピープルファースト活動の大きな節目の年でもあった。
(4)大阪後見支援センターの運営協議会委員
生田さんが知的障害者の当事者代表として出席している後見支援センターの運営協議会では、今年度も3月に運営委員会が開催された。生田さんはその場で、事件を防ぐために後見支援センターでできることはないかと発言をしたが、議論は進まなかった。申請主義の方針を採るセンターに対して、人権侵害をなくすためには何が求められているのか、より当事者の立場にたった発言が求められている。
(5)東大阪市「新障害者プラン」策定委員会
東大阪市の広報で募集されていた委員会に生田さんが応募したところ、公募委員として採用された。来年9月までに約5回の委員会が開かれる。公募委員ではあるが、委員会のメンバーで知的障害者は生田さんだけであり、当事者としての発言が会議の場で、大きな影響力を持つことになった。今年度の委員会では、当事者に配布される調査票に対して「字が小さい」「ふりがながない」等発言し、内容についても地域サービスのあり方について発言し、検討のきっかけとなった。その後の数回は、議題的に生田さんが発言するのには難しい内容だったこともあり、積極的な発言はできていないが、調査票の回答の分析が終わり、プランの具体的な内容に入っていく来年度の策定委員会は、当事者代表として積極的な発言が求められている。
2.外部団体との協力
(1)障大連関係
現在、障大連の活動は運動団体としてだけではなく、NPO法人・自立生活協会での様々な事業展開、社会福祉法人による福祉ホームの建設・運営など事業者として大きく拡大している。また、大阪府の「第3次障害者計画の策定」など障害者施策の決定において、全ての障害者の意見を代表する団体としてますます重要な役割を果たしている。
今年度も事務局に関わり、各部会(定例会・介護部会・グループホーム部会・労働部会交通・まちづくりの部会)にも積極的に参加してきた。なかま会は今年度からピープルファースト大阪として活動した。
対大阪府交渉・総決起集会にも当事者・支援者が多数参加し、当事者を中心に切実な要求をぶつけてきた。12月の自立セミナーでは支援費を目前に控えた支援者の学習やピープルファースト大阪の交流を進めた。
(2)全障連
今年度は大会もなく特筆すべき取り組みはなかった。
(3)東大阪市交渉
つばさグループとして対東大阪市交渉を行った。
グループホームについては、府営住宅の利用は進んでいるが、市営住宅のグループホーム利用は他団体も含めて皆無の現状から、市営住宅の新規建設計画にグループホーム利用を含めるよう強く訴えた。
毎年の交渉であがってくる課題は、中期・長期の展望をもった政策や制度を福祉部を中心として行政と共に作り上げていくということだ。そのため、今年は各課題別に行政との事前協議をもち、それらを集約して要求課題を整理して交渉に臨むことができた。また、交渉日程も予算審議の前になんとかもつことができた。
以上のような総括のもと、今後もつばさグループの力を結集して全力で取り組んでいきたい。
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